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CD「正門憲也作品集 閑ゆりあ(ヴァイオリン) 茂木彩(ピアノ)」

 古典と現代を横断するような新鮮な感覚を持つ作曲家・正門憲也の作品集CD[閑ゆりあ(ヴァイオリン)、茂木彩(ピアノ)](3SCD-0073)が 完成!!

 

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正門憲也は、近藤譲、三善晃、佐藤眞らに作曲を師事して、数々のコンクールでも評価された作曲家です。

ライフワークである《遊戯》シリーズから、ヴァイオリン、ピアノによる珠玉の6曲を収録しました。

多層的かつ華麗に躍動する音たちを、閑ゆりあ(ヴァイオリン)、茂木彩(ピアノ)の光彩陸離たる演奏が聴かせます。

音響的にも優れたマリーコンツェルトホールで2023年8月に行われたライヴ録音をCD化!

 

 

■CDタイトル「正門憲也作品集/閑ゆりあ(ヴァイオリン)、茂木彩(ピアノ)」

■CD番号 3SCD-0073

■作曲:正門憲也

■演奏:閑ゆりあ(ヴァイオリン)、茂木彩(ピアノ)

■税込:3300円

■発売:2024年3月1日

■序文:西耕一

■解説: 正門憲也

■発売元:スリーシェルズ

■バーコード:4560224350733

 


【収録曲】

01 遊戯第28番 ひばり

02 遊戯第9番 Stumble

03 遊戯第30番 Spontaneous

04 遊戯第15番 Sonatine 第1楽章

05 遊戯第15番 Sonatine 第2楽章

06 遊戯第32番 イソヒヨドリ

07 遊戯第16番 舞踏組曲 Prelude

08 遊戯第16番 舞踏組曲 Allemande

09 遊戯第16番 舞踏組曲 Courante

10 遊戯第16番 舞踏組曲 Sarabande

11 遊戯第16番 舞踏組曲 Gavotte-Mussett

12 遊戯第16番 舞踏組曲 Minuet

13 遊戯第16番 舞踏組曲 Gigue

 

レコーディング(LIVE):2023年8月8日マリーコンツェルト

使用ピアノ:STEINWAY&SONS B-211

録音・編集・ミキシング:宮本章光 And EM

裏表紙:小杉直寛(ペルピニャン:サン=マルタンの午後)

デザイン:山口翔悟

写真:Roco (Atelier H.R.K)/ヘアメイク:冨本あゆみ

 

CD序文より

 

―古典と現代を横断する新鮮な感覚―正門憲也の音楽について/西耕一(音楽評論)

10年ほど前だろうか、ある会合で、正門憲也の耳の良さに驚いたことがある。それは雑談に近い会議のクロストーク中に、遠隔地にいる話し手と私の携帯電話を通じて、意見を交わすという場面だった。正門は、ノイズのなかで携帯電話の小さな話声を聴き取って、遠隔地にいる話し手の意図を理解したのだった。携帯電話を持っていた私でさえよく聞き取れなかった内容を聴き取る「超人的な聴覚」を如何にして正門が得たのか? 卵が先か、鶏が先か、という話でもあるが、正門のたゆまぬ研鑽ゆえと捉えた。

 

この度、正門憲也作品を幾度も初演、再演している閑ゆりあ(ヴァイオリン)と茂木彩(ピアノ)を迎えて、一晩のライヴを収録したCDが作られた。その光彩陸離たる演奏にも感嘆したが、収録された作品を聴く内に、日々移り変わる景色の美しさを思った。微細な変化が次第に大きな変化として認識されるような、1日単位では気付かなくとも、木々の紅葉が風景を変えていくような表現が、正門によるアレグロの活発な音楽には編み込まれている。そこには様々な生き物もいて、幾つかの作品でタイトルになっている鳥たちもあらわれ、生命を謳歌する。西洋の古典組曲などの形式を使って、しかし、日本の古謡を思わせる韻を踏むような節回しもあり、かといってそれ一辺倒にもならない。ある意味ではバランスが取りにくいように思われる古典と現代のギリギリの部分を、それこそ鳥が瞬間的に枝から枝へ飛び跳ねるように軽々と横断していく。ミニマルやオスティナート音楽の新たな可能性とも聴き取った。

 

 

 

そのような正門憲也の創作史を短く紹介する。東京藝術大学在学中から日本音楽コンクール他、数々の作曲賞へノミネートされ、早熟な才能を発揮した。幼少期から作曲を志して、兵庫県立西宮高校では、音楽科ヴァイオリン科で学んだ。作曲は、高校時代に池上敏、藤島昌寿に、大学では佐藤眞、三善晃、近藤譲に師事している。初期は、大編成の管弦楽の書き手として認められ、佐藤眞、三善晃のレッスンのもと、藝大卒業作品として仕上げた5管編成の管弦楽曲は、3管編成への書き直しを余儀なくされたが、結果的には日本交響楽振興財団第15回作曲賞に入選した。この作品が、《管弦楽のための遊戯I》である。この作品は翌年の第4回芥川作曲賞選考演奏会でも取り上げられ、松村禎三、黛敏郎、武満徹によって審査された。このときのレセプションで、正門が受けた言葉はその後の創作にも通底している。武満からは、《遊戯》のタイトルについて、AmusementではなくPLAYかJEUXにすべきと示唆を受けた。黛からは、正門を芥川作曲賞に推したのは自分であったが、中間部の叙情的な部分がなければ更に良かった、との言葉を受けた。松村からは、打楽器の音量に対しての厳しく温かな言葉があったという。

ドビュッシーの「遊戯」の持つ静的な美しさを意識するようになったのは高校三年の頃からだった。そして、この当時の 《遊戯》は「美しさを損なわない爆発力や楽しさを追求」していた。若き日はデモーニッシュな音楽を求める気持ちもあったが、次第に、音楽が、急速に近代から現代へ進みすぎてしまった、との思いを抱くようになり、その間隙を埋めるような作品を書きたいと考えるようになった。今回のCDのための筆者の質問に対しては、自分の音楽は次第に「天上寄りの作品」への憧れを持つようになってきた。天上は書けないにしても、その入口に至る道を書けるようになりたい。そして、ヒーリングミュージックとはまた違う意味で、透明な湧き水が流れるような、手垢の少ない音楽を書きたいと思うようになったと語ってくれた。

達人による一筆書きのように迷いない筆致をライヴCDとして残したこの作品集は、正門の多彩な音感覚をリアルに知らせてくれる意義ある仕事と私は考える。

 

■閑 ゆりあ Yuria SHIZUKA

千葉県出身。5歳よりヴァイオリンを始める。桐朋学園大学附属「子供の為の音楽教室」、桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部演奏学科ヴァイオリン専攻卒業。

在学中、桐朋学園室内楽演奏会に弦楽四重奏のメンバーとして出演。第9回日本クラシック音楽コンクール審査員特別賞を受賞。その後奨学金を得てイギリス・ロンドンに渡り、

英国王立音楽院大学院修了。

現在は、クラシックを中心にジャンルを問わず各地で演奏するほか、音楽教室を主宰し教育活動にも熱心に取り組んでいる。

正門憲也作品では2019年9月NCMにて「ひばり Play No.28」初演、翌?20年アプサラスアネックス第3回演奏会にて再演、2022年2月NCMにて「Spontaneous Play no.30」初演、

そのほかヴァイオリンとピアノのための2作「Stumble Play no.9」「舞踏 Play no.16」もピアノの茂木彩とともにレパートリーとして持つ。

これまでに、桜木弘子、鈴木愛子、天満敦子、名倉淑子、磯野順子、宗倫匡の各氏に師事。

 

■茂木 彩 Aya MOGI

東京都出身。桐朋学園大学附属「子供の為の音楽教室」にて5歳よりピアノを始める。

同音楽教室首席修了。桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業後、渡仏。 エコールノルマル音楽院修了。

第8回イルドフランス国際ピアノコンクール第2位、第2回エレーナリヒテル国際ピアノコンクール第1位、第21回日本演奏家コンクール第1位及び鎌倉市?賞受賞、第3回日本室内楽ピアノコンクール第1位(金賞)他、国内外のコンクールに入賞。NHK交響楽団奏者

とシューマンのピアノ五重奏曲を共演。東京、パリでのリサイタルを始め、ソロ、室内楽を問わず、各地で演奏を行う。2019年9月New Chamber Music 第6回 演奏会にて、正門憲也作曲「ひばり Play no.28」を初演 (Vl.閑ゆりあ)。

好評を博し、2020年9月アプサラスアネックス第3回演奏会にて再演するなど、古典から現代作品まで活動の幅を広げている。

これまでに、野口恭子、磯崎淳子、竹内啓子、御木本澄子、恩田明香、ジェルメーヌ・ムニエ、パトリシア・トマ、ディーナ・ヨッフェ、菅野潤の各氏に師事。

 

■正門 憲也 Kenya MASAKADO

兵庫県立?宮高等学校音楽科ヴァイオリン科を経て、東京藝術大学音楽学部作曲科、同大音楽研究科修士課程作曲専攻修了。ヴァイオリンを北村芳子、東儀幸、日高毅、作曲を、

池上敏、藤島昌壽、近藤譲、三善晃、佐藤眞の各氏に師事。

第59 回日本音楽コンクールにて管弦楽曲「死の舞踏」第2位(小松一彦指揮:東京フィルハーモニー交響楽団)、「舞踏狂詩曲(ヴァイオリン協奏曲)」?谷川良夫賞(松尾葉子指揮:東京藝術大学管弦楽研究部、Vn独奏:小川有紀子)、第15 回日本交響楽振興財団作曲賞「管弦楽の遊戯」(小松一彦指揮:東京フィルハーモニー交響楽団)入選し、第4回芥川作曲賞選考演奏会(同演奏)、また東欧にて再演・放送等。これまでの主な作品に遊戯第6番(アルス金管五重奏団)、遊戯第7番(OKSQ&Pf:黑田亜樹)、遊戯第8番「祭歌・童歌」

(B.スローカー&三宅美子委嘱 神奈川県作曲委嘱助成作品)、遊戯第14 番「鐘」(小澤英世・松浦真砂 再演時:鶴園紫磯子CD発売)、遊戯第18番「浮舟」華麗なる饗宴演奏会ほかアメリカにて再演、遊戯第19番「木霊」東京チェロアンサンブル、管弦楽の舟歌、弦楽の舟歌第1番-第4番、クラリネットの舟歌、弦楽四重奏曲第1番-第3番などがある。

日本現代音楽協会、APSARAS、New ChamberMusic 等に所属。特殊奏法を用いず、古典と現代双方の融和から導く新しい音と、強拍を極力減らした多層的で美しい音を研究している。

楽譜は I.T.S. Music Studio https://music.its-c.jp/