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CD:冬木透 映像音楽の世界シリーズVol.2

 

新発売!!

冬木透 映像音楽の世界シリーズVol.2

帯掲載:CDタイトル 冬木透 「怪獣大奮戦ダイゴロウ対ゴリアス」音楽大全

発売日:2019年3月20日発売

CD番号 3SCD-0043

定価:2778円(税抜)

バーコード:4560224350436

 

限定500枚プレス!!

 

■円谷作品の最高のマエストロの一人、冬木透がちりばめた音楽の魔法の数々。

「怪獣大奮戦ダイゴロウ対ゴリアス」の単独音楽集が完成したことに喝采を叫びたい!(早川優)

 

■子供にも、大人にも最高に上質な冬木サウンド!

巧みなオーケストレーションと、美しいメロディー。魅力的なテーマ変奏の輝き。これほどに明るく、優しく、心に瑞々しい音楽があるのだろうか?! 円谷作品の最高のマエストロの一人、冬木透の隠れた傑作がついに初の完全音盤化!(西耕一)

 

監修:早川優、西耕一、構成:朝倉寧

協力:円谷プロ、冬木透

 

冬木透 「怪獣大奮戦ダイゴロウ対ゴリアス」

音楽大全 収録曲一覧

マスターテープの劣化によるノイズがございます。

(未):未使用曲

01.「ダイゴロウ対ゴリアス」主題歌 映画用

02.「ダイゴロウ対ゴリアス」主題歌2コーラス

03.「ダイゴロウ対ゴリアス」主題歌3番のみ

04.ララバイ オブ ダイゴロウ

05.ぼくのおじさん

06.M-OP/オープニング

07.M-2A/ビックリ発明ファンファーレ

08.M-3/おじさんへの声援~空腹のダイゴロウ

09.M-4/島での生活

10.M-5AT2/一発大勝負

11.M-5-2T1

12.M-5-2T1の途中から/おじさん空へ~墜落

13.M-5-2コーダT2/失格

14.M-5B-2/落下

15.M-6/新聞記事

16.M-7/浜辺のダイゴロウ

17.M-8/ダイゴロウの母の死

18.M-9/飼育員とダイゴロウ

19.M-12/社長さんの寄付

20.M-13/愉快なおじさんの家

21.M-14-1/魔法の靴

22.M-14-2/魔法の靴を履いて

23.M-15/禁酒中の熊五郎

24.M-16(前)/ダイゴロウを小さく・・・

25.M-16(後)T2/ハプニングおじさん

26.M-17-1/悪夢

27.M-18/アンチグロウ

28.M-19/悲しみのダイゴロウ

29.M-21/瞬間雨降りミサイル

30.M-22/雨・・・?

31.M-23/異変

32.M-24/ゴリアス出現~ダイゴロウ敗北

33.M-25/ダイゴロウを守れ!

34.M-26/蜂蜜の味

35.M-27/ゴリアスはどこへ

36.M-29/張り切るダイゴロウ

37.M-30/大暴れのゴリアス

38.M-32/美しい地球

39.M-33/特訓の成果

40.M-34/ゴリアスの元へ

41.M-35T2/接近

42.M-36(リール2収録版)/ゴリアス発見

43.M-36アタマT2

44.M-37A/背後のゴリアス

45.M-37B-1

46.M-38/狼煙の合図

47.M-39/角を封じろ!

48.M-40/急いで布を掛けろ

49.M-41/負けるなダイゴロウ

50.M-42/ダイゴロウの勝利

51.M-なし/エンディング

52.M-2A’(未)

53.M-2B(未)

54.M-5AT1(未)

55.M-5-2コーダT1(未)

56.M-10T1(未)

57.M-10T2(未)

58.M-16T1(後)(未)

59.M-35T1(未)

60.M-36アタマT1(未)

61.M-36(リール1収録版)(未)

62.M-37B-2T1(未)

63.M-37B-2T2(未)

64.M-38-2(未)

65.M-43-2(未)

 

 

「怪獣大奮戦ダイゴロウ対ゴリアス」について:早川優

 

 円谷プロダクション創立十周年記念作品。飯島敏宏が脚本と監督を務めた、記念作品に相応しいジュブナイルの傑作である。

 母を失った子供怪獣ダイゴロウが心優しき人々の助けと応援を得て、ついには大星獣ゴリアスを退け、地球の平和を守るまでが描かれる。

 円谷プロにとって新作劇場映画の製作は一つの悲願だった。『ウルトラマン』放映時の「ジャイアント作戦」、第二次怪獣ブーム前夜の「怪獣番外地」といった新作企画が実現しない中、銀幕への作品提供は、1966年の『長編怪獣映画ウルトラマン』にはじまり、『帰ってきたウルトラマン』『ミラーマン』ほか、再編集・ブローアップ上映の成果にとどまっていた。

 やがて、新たな怪獣ブームの到来を経て、東宝チャンピオンまつりの上映作品としてついに新作劇場映画の実現をみたのが本作品である。

 本作品には円谷プロの精鋭スタッフが結集。メガホンを取ったのは、『ウルトラQ』放映第1話に相応しい作品を、と請われて「ゴメスを倒せ!」の脚本を千束北男名義で提供した飯島敏宏。脚本・監督として、空想特撮シリーズのカラーや世界観を構築した筆頭功労者である。洋画の怪物=モンスターでも、日本古来の妖怪でもなく、東宝特撮映画から誕生した日本独自の「怪獣」を、テレビシリーズという恰好のメディアを通じて日本中に浸透させた。そんな飯島らが築いた「怪獣が普通に存在する世界」……いわば「ウルトラゾーン」の世界観の上に成立する良質なファミリー・ムービーが『ダイゴロウ対ゴリアス』なのである。

 作品は、都会的でスマートな映像表現と牧歌的で暖かな人間描写の双方を兼ね備えた飯島監督らしい仕上がり。本篇と特撮を『ウルトラマン』制作第1回作品(バルタン星人、ネロンガ、グリーンモンス)と同じく一班体制としたことも、作品の纏まりを強固なものとした。

 多彩な俳優陣による人情喜劇的な味わい。特撮ステージをフルに活用したパノラミックな画面構成、ラージスケールモデルを巧みに使用した本編と特撮シーンの融合など、子供から大人まで楽しめる傑作である。本作が公開された1972年冬のチャンピオンまつりは、怪獣映画の総決算たる『怪獣総進撃』の改題再映作『ゴジラ電撃大作戦』、『パンダコパンダ』そして本作品と、どこを切り出しても美味しい最高のおもちゃ箱のようなプログラムとなった。

 画面サイズは撮影スタッフの強いこだわりからスタンダードを選択。これは画角の隅々まで演出の神経が行き届くことからのチョイスとのこと。特撮セットをミニマムに抑える効果もあった。ただ監督自身は、当時劇場で観た際、『ダイゴロウ対ゴリアス』上映前にスタンダードサイズに合わせてスクリーン横側の幕がスルスルと閉まるのを見て、シネマスコープで撮らなかったことへの若干の後悔を感じたとのことだが、上映中、子供たちが同時上映作品にも増して真剣に作品に見入っていることを感じ、大きな喜びを感じたそうである。

 音楽は当初は冨田勲が担当する予定で、シナリオのスタッフ欄にもその名前が記されている。そのため、本作の劇場予告篇においても、冨田の『恐怖劇場アンバランス』からの音楽が挿入されている。だが、諸般の事情から冨田は降板となり、急遽、飯島監督とはTBS時代からの付き合いで、円谷作品の最高のマエストロの一人、冬木透が見事にその穴を埋めることになる。子供にとっては最高の怪獣映画、引率の親にとっては風刺を込めた大人の童話としての本作に、欧米の幾多のファミリー映画でシャーマン兄弟が聞かせたものに匹敵する音楽の魔法を、冬木はちりばめてみせた。

 これまで本作品の音楽は様々な機会に商品化されてきた。「SF特撮映画音楽全集14 特撮スペクタクルの世界2」(ビニールLP、キング K22G 7150)、「SF特撮主題曲集5」(カセットテープ、アポロン KSZ486)、「TSUBURAYA PRODUCTION HISTORY OF MUSIC」(日本コロムビアCOCC-9411→9425)、「怪獣王 日本SF・幻想映画音楽体系」(キングKICA-2201~10)、「円谷プロBGMコレクション・リミテッド・エディション~円谷プロダクション・アーリーデイズ・クロニクル」(VAP VPCD-81334~9)……。が、ここについに単独音楽集が完成したことに喝采を叫びたい。

 飯島監督は本作の後しばらくおいて、劇場映画『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(2001年)、『ホームカミング 虹の丘タウンで起こったこと』(2011年)を発表。どちらも飯島作品ならではの世界観が結実した傑作だ。一方、『ウルトラQ倶楽部』でラジオドラマ、六本木ヒルズのウルトラマン関連イベントの「ウルトラQ電気紙芝居 火星のバラ」で紙芝居と、自らの娯楽のルーツをベースに監督が育んできたウルトラを温故知新ともいうべき趣向で甦らせてきた。昭和からのウルトラ・ファンの飽くなき欲望としては、いつの日か飯島監督自らの手によって、かの「ジャイアント作戦」が映像化されることを夢想して本稿の結びとしたい。