CDタイトル 黛敏郎 電子音楽作品集
発売日:2019年3月20日
CD番号:3SCD-0041
定価:2778円(税抜)
バーコード:4560224350412
限定250枚!!
「音響の探求者 黛敏郎と三島由紀夫作詩による幻の電子音楽を復元!」
黛敏郎(電子音楽)
三島由紀夫(作詩)
黛りんたろう(朗読)
山中剛史(解説)
磯部英彬(電子音楽復元)
■三島由紀夫の作詩、黛敏郎の作曲(電子音)による《理髪師の衒学的欲望とフットボールの食欲との相関関係》の復元CD化!
黛敏郎が1965年の日本の音風景を再構築した《3つの讃》!
ミュージックコンクレートによるカンパノロジーの1975年版とも言うべき天の鐘、中の鐘、地の鐘の発見収録!
鐘の音や新幹線チャイムなど、黛ファンならば誰もが持っておきたい究極の研究CD完成!
曲目
三島由紀夫の詩、黛敏郎の電子音による『理髪師の衒学的欲望とフットボールの食欲との相関関係』(1957)
1.オリジナルバージョン(朗読:黛りんたろう、電子音復元:磯部英彬)
2.電子音を鐘の音から生成したバージョンB(朗読:黛りんたろう、電子音復元:磯部英彬)
3.黛敏郎 作曲 オリジナルバージョン(カラオケ)
4.黛敏郎 作曲 バージョンB(カラオケ)
黛敏郎作曲によるテープ音楽
5.3つの讃(1965)
6.天の鐘(1975)※途中2分無音部あり
使用された鐘:黒谷光明寺/妙心寺 黄鐘調/紀三中寺/中禅寺立樹観音堂/妙心寺 黄鐘調/寂光院/長楽寺/建長寺(小)/寛永寺 B
7.中の鐘 前半(1975)
8.中の鐘 後半(1975)
使用された鐘:日光輪王寺/金剛峯寺 大塔/円覚寺/金剛峯寺/妙心寺 大鐘/方広寺/大津三井寺/真如堂/矢崎/寛永寺 C/寛永寺 E
9.地の鐘(1975)※途中1分無音部あり
使用された鐘:知恩院/東大寺/薬師寺/建長寺/東大寺/寛永寺 A
ボーナストラック(黛敏郎セレクト・梵鐘テープより)
10.日光輪王寺
11.知恩院
12.金剛峯寺 大塔
13.金剛峯寺 大塔2
14.黒谷光明寺 1
15.黒谷光明寺 2
16.妙心寺 大鐘
17.妙心寺 黄鐘調
18.紀三井寺
19.方広寺
20.薬師寺
21東大寺 1
22.東大寺 2連続用
23.立樹観音堂
24.大津三井寺
25.妙心寺 黄鐘調 2
26.円覚寺
27.建長寺
28.法照院
29.寂光院
30.真如堂
31.長楽寺
32.東大寺 3
33.矢崎
34.建長寺 小
35.寛永寺 A
36.寛永寺 B
37.寛永寺 C
38.寛永寺 D
39.寛永寺 E
40.東大寺
41.知恩院
42.妙心寺
43.高野山
44.南禅寺
ボーナストラック2
45.黛敏郎 作曲:0系新幹線チャイム(1968)
作曲:黛敏郎、作詩:三島由紀夫、朗読:黛りんたろう
トラック1,2朗読の録音:2017年10月19日(OTO Studio)
トラック1,2,3,4,45,電子音制作・復元:磯部英彬
他、黛敏郎音楽事務所、アオイスタジオテープより収録
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プロデューサーノート 西耕一
本CDに収録されたのは、黛敏郎氏の作曲・編集によるテープ音楽、電子音楽と、その素材となった鐘の音です。CDのトップを飾るのは、三島由紀夫氏の作詩、黛敏郎氏の作曲(電子音)による《理髪師の衒学的欲望とフットボールの食欲との相関関係》の復元となりました。1957年に雑誌『総合』に発表されたきり、公開での演奏も、楽曲が制作されたことの裏付けとなる情報も見つけることができずに居た幻の作品です。当時の雑誌に譜面が掲載されていたこともあり、磯部英彬氏による電子音パートの復元作成、黛りんたろう氏による朗読で、この幻の作品の再現が可能となりました。舞台初演は、2017年4月5日「黛敏郎没20年・生誕88年メモリアルコンサート」(於:豊洲シビックホール)でした。
トラック5の《テープによる3つの讃》は、NHK電子音楽スタジオで制作され、1965年8月8日に発表されました。「1965年」の日本を取り巻く様々な音風景を素材として編集・構成して作られたテープ作品です。詳細な楽曲情報は、当時の解説や楽譜などもまだ未発見であり、今後の調査によって判明されることでしょう。トラック6,7,8,9に収録されたのは、1970年制作と思われる《天の鐘》《中の鐘》《地の鐘》と題されたテープに収録されていた作品です。各鐘には無音が数分続く部分もありますが、そのままの収録と致しました。その理由は。この3つの鐘(ほぼモノラルであるが2chステレオで制作)を同期して6chで多重再生した素材としての同一性を保持する必要を考えたためです。鑑賞には不向きな部分もあるかもしれませんが、上記の理由にてテープへ収録されたままの収録としました。尚、CD制作において、実際に3つの鐘を同期して再生を試みましたがライヴ的なズレも許容する「演奏」としての再生でこそ効果を発揮するものであり、その再現演奏の可能性に期待して3つの鐘を同期・固定させた音源の制作・収録は避けることに致しました。黛敏郎氏の作曲による幻のテープ作品として今後の研究が期待されます。
同じく、トラック10から44までは、黛敏郎氏が自身の音楽的な源泉を知るための素材の一つである「鐘の音」のテープから収録致しました。上記《天の鐘》《中の鐘》《地の鐘》の製作時にその素材として、アオイスタジオに提供した鐘の音テープからの収録となります。基本的に、1本のテープに1つのお寺の鐘の音が収録され、1打を繰り返しコピーされているテープでしたが、そこから各寺の1打を切り出して収録しています(収録順はテープナンバー順、重複と思われる音源も別テープの場合は収録しました)。例外として、トラック40、41,42,44は波形から検証して、連続して同じ鐘を連打した録音であり、そのままの再録としました。なお、《涅槃交響曲》に使用したとされる梵鐘は、東大寺、平等院、法然院、 永観堂、妙心寺、華光寺、大雲寺の7種(と3種の半鐘)とされております。
そしてボーナストラックに、やはり復元での収録となりましたが《0系新幹線チャイム》を収録致しました。このオリジナルは、その特殊なサウンドが、新幹線の乗客には印象深く刻まれていました。1968年から1970年の使用とされていますが、特殊な電源装置が必要な特注の再生装置であったことで、そのオリジナルのクリアな録音を聴くことが難しかったこともあり、オリジナルの音源を音楽家の今堀拓也氏によって楽譜化して、それを磯部英彬氏の電子音によって復元をしました。ノイズの多い、オリジナルの音源しか残っていなかったことと、音楽作品としての音盤化がなされていなかったこともあり、本作の収録は特筆されましょう。
2019年2月20日で黛敏郎は生誕90年を迎えます。「音響の探求者」として音楽家人生を走り抜けた作曲家の、これまで顧みられることの少なかった作品について、理解が深まりますことを祈念致します。このCDの制作に関わった多くの関係者の皆様に深く御礼を申し上げます。